ACVに登場する通貨単位。“エーユー”と読む。
日本の大手電気通信業者のブランド名……などということは当然なく、正しくは周期表による原子番号79の元素。元素気号Au、つまり「金(きん)」である。
世界が広く汚染されて荒廃し物資の不足した世界において、配給制や物々交換が常態化していることは想像に難くないが、ミグラントであるロザリィがしきりに「お金」と口にしており、主人公もこのAuを用いて彼女からパーツ購入や簡易ガレージ等のサービスを受けていることから、ミグラントがAu(金)を通貨として用いて商いを行っていることは間違いない模様。
また、シティから対価を受け取っている企業、その企業に雇われた主人公も報酬をAuで受け取っているため、Auはミグラント以外の組織・団体においても通用していることが分かる。
とはいえ、このAuが一般市民にまで通用もしくは流通しているかは不明。
また、通貨の表記から察するに金を元にした通貨(金貨)ではなく、金そのものが通貨であり、地金(金塊)の様な状態で重さを基準に取引を行っていると考えられる。
ただし、1Auが何グラムで、いくら(何円)に相当するのかについては判断材料がない(『the FACT』にも言及がなかった)ため、求めることができない。
ACVの世界は、誰もが羨む程の“モヒカンが火炎放射器を携えて「ヒャッハー!」と叫びながらのさばっていそうな世紀末的状況”っぷりである。
が、モヒカンが「お尻を拭く紙にもならない」と札束を投げ捨てた件の世紀末的状況を描いた某作品とは異なり、自らを「守銭奴」と呼ぶ程のお金大好き人間が存在することから、本作の世界では効力のある通貨が流通していることが窺われる。
ただし、前述のとおり世界が壊滅的打撃を受けていること、また、本作に唯一登場する統治組織であるシティが発足から日が浅く、そして作中において崩壊してしまう等の理由から、組織がその価値を保証する信用通貨の運用は極めて難しいと思われる。
(仮にシティが独自の通貨を発行していたとしても、シティの外では通用しない可能性が高く、さらにシティの崩壊によってそれは紙くず同然となっただろう。)
そのため、歴史的に安定して高い価値を持つ金が通貨の基準となるのは自然の成り行きであり、必然だったといえる。
また、金を貨幣に鋳造する・金と交換できる通貨を定め価値を保証する組織も存在しえないことから、金その物の重さ(純度も無視することはできないが)を基準に取引に使うこともまた、無理からぬことだったといえる。
余談であるが、大航海時代に「胡椒が銀(ないし金)と同じ価値で取引されていた」例のように、ACVの時代でも、極端に不足した物資が同重量の金と交換されている可能性は十分に考えられる。
某機動戦士の料理長なら、塩を得るために喜んで同重量(もしくはそれ以上)の金を差し出したことであろう。